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マンション管理を支えるAIとロボットの現在地

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管理員が見つからない。委託費は上がる。それでも、受付、清掃、巡回は毎日続けなくてはならない。

管理組合から見た管理員業務の課題を入り口に、AIやロボットと分け合える仕事を考えてみたい。

管理組合が直面している、管理員の課題

管理組合にとって管理員は、マンションの日常を支える大切な存在だ。

受付、清掃、巡回、点検の立ち会い、居住者からの連絡。管理委託契約に沿って、さまざまな仕事を担っている。

けれど、その日常をこれまでと同じ形で続けることが難しくなっている。マンション管理業協会は、業界を取り巻く状況として人材不足や最低賃金の引き上げを含む物価高騰を挙げている。管理会社が人を確保しにくくなれば、管理組合側には、管理員の欠員や交代、管理委託費の上昇という形で表れやすい。

管理員に求められることが、契約上の業務を越えて広がりやすいことも課題だ。マンション管理業協会の解説でも、居住者が委託内容を理解しないまま仕事を求めると、管理員や管理会社が本来の業務を行えなくなると説明されている

さらに、管理員が勤務していない時間には、その場で案内できないこともある。担当者が替われば、対応のしかたに差が出る可能性もある。管理組合から見れば、費用だけでなく、契約で定めた管理業務を安定して続けられるかどうかが大きな問題になる。

管理員を置くか、置かないか。その二択ではない。人が必要な仕事を守るために、定型的な仕事を別の方法で支えられないか。そこにAIやロボットを考える余地がある。

ロボットに任せたいのは、「管理員」ではない

ロボットに任せたいのは、「管理員」という役割そのものではない。

何度も繰り返す案内。体を使う清掃。決まった順路の見回り。管理員が抱えている仕事のなかから、ロボットが得意な部分を少し預けてみる。

AIロボット管理員のアイデアは、そこから始まる。

すでに、いくつかの仕事は動き始めている

2019年、エスリード松屋町グレイスに「スマート管理員」というサービスが導入された。

といっても、ロボットがエントランスを歩いているわけではない。音声や画面を通じて、居住者からの問い合わせにAIが答える仕組みだ。管理員がいない時間にも質問でき、よくある案内の一部をAIに任せられる。

ファミリーネット・ジャパンが提供するマンション向けAIチャットも、2024年の発表で6,500戸以上に広がっていた。

一方、清掃の分野では、実際に動くロボットが登場している。

2026年、プラウドタワー相模大野クロスに導入された掃除ロボットは、共用廊下を清掃し、作業が終わると自分でエレベーターを呼ぶ。そして、次の階へ向かう。

マンションの外へ目を向ければ、商業施設で案内と見回りを担う警備ロボット「ugo」のような例もある。

案内するAI。清掃するロボット。見回るロボット。

まだ、ひとつの姿にはなっていない。でも、「AIロボット管理員」を形づくる小さな部品は、すでにあちこちで動き始めている。

何でもできる一台を、待たなくてもいい

未来のロボットというと、ひとりで何でもこなす姿を思い浮かべてしまう。

けれど、マンション管理では、そうでなくてもいいのかもしれない。

質問への案内はAIに。広い廊下の清掃は掃除ロボットに。決まった場所の確認は巡回ロボットに。そして、いつもと違うことが起きたら、人の管理員につなぐ。

いくつかの技術をゆるやかに結び、人とロボットのあいだに無理のないバトンを置く。

そのほうが、何でもできる一台を待つよりも、ずっと現実に近そうだ。

管理員の仕事に余白を、管理組合に安定を

ロボットが廊下を清掃しているあいだに、管理員は居住者の相談をゆっくり聞けるかもしれない。

よくある質問にAIが答えてくれたら、急いでいた点検記録を落ち着いてまとめられるかもしれない。

見回りの記録が自動で残れば、気になった場所をもう一度、自分の目で確かめに行けるかもしれない。

技術が生み出す価値は、作業時間を何分減らせたかだけではない。

管理員には、人にしかできない対応へ向き合う余白ができる。管理組合には、限られた人員でも必要な業務を続けやすくなる安心が生まれる。問い合わせ件数や清掃・巡回の記録が残れば、委託している業務の状況も確かめやすくなる。

AIロボット管理員は、ただ人を少なくするためのアイデアではない。管理の品質と継続性を守りながら、人の仕事に余白をつくるためのアイデアでありたい。

暮らしの中へ迎える前に

もちろん、ロボットはまだ万能ではない。

マンションには段差があり、扉があり、人が行き交う。カメラや音声を使うなら、プライバシーへの配慮も欠かせない。費用のこと、故障したときのこと、誰がどこまで責任を持つのかも考える必要がある。

商業施設で動くロボットを、そのまま住まいへ連れてくるわけにはいかない。便利さだけでなく、居住者が安心できる距離感を探すことが大切になる。

まずは、管理組合が管理会社へ委託している業務を整理する。そのなかから、管理員が繰り返している仕事、欠員時にも止めたくない仕事、記録を残したい仕事をひとつ選ぶ。そこに、小さく技術を置いてみる。うまくいかなければ、人がすぐに引き取れるようにしておく。

費用が下がるかだけでなく、管理の品質が保てるか、居住者が安心できるか、管理員が働きやすくなるかを確かめる。そんな慎重さも含めて、人とロボットが一緒に働くマンションを考えていきたい。

参考資料

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